ピラティスで尿漏れの改善は期待できる?骨盤底筋の整え方と自宅でできるポーズを解説
ピラティスは、咳やくしゃみなど腹圧がかかったときの軽度の尿漏れでは、骨盤底筋と呼吸の連動を整えることで改善が期待できるでしょう。
しかし、尿漏れは原因によって対策が変わり、血尿・痛み・発熱、出し切れずに漏れるなどがある場合は運動より受診が必要なこともあります。
この記事では、尿漏れの種類やピラティスで改善が期待できるのかどうか、自宅でできるエクササイズなどを中心に解説していきます。
この記事の
監修者
永田 真子
(ながた まこ)
ヨガ指導歴歴9年。
ホットヨガスタジオloIveトレーナーとして、インストラクター育成やレッスン開発、ボディメイクやダイエット目的としたWS開催を担当。
その経験を活かし、現在はマシンピラティス専門スタジオpilatesKシニアトレーナーとして全国9エリアに在籍する技術指導トレーナーを束ねるレッスンクオリティ責任者として活動。
ピラティスを始める前に|尿漏れと骨盤底筋の基本
ピラティスで尿漏れのケアを考えるなら、最初に「骨盤底筋」と「尿漏れの起こり方」を押さえておくことが大切です。
骨盤底筋がどんな役割を担い、どんな状況で弱りやすいのかを理解しておくと、エクササイズの狙いが明確になります。
ここでは尿漏れと骨盤底筋について分かりやすく解説していきます。
骨盤底筋は尿道や膀胱を支える筋肉
骨盤底筋は、尿道や膀胱を含む骨盤内の臓器を下から支え、排尿のコントロールに関わる筋肉です。
骨盤の底には複数の筋肉がハンモック状に張った「骨盤底筋群」があり、膀胱・子宮・直腸などの位置を安定させる役割を担っています。
排尿は、膀胱に尿がたまる過程では尿道を閉じて漏れを防ぎ、トイレでは尿道をゆるめて尿を出すという切り替えで成り立っています。
この切り替えには骨盤底筋だけでなく、尿道括約筋などの働き、神経のコントロールも関与しているのです。
たとえば咳やくしゃみでお腹に圧(腹圧)がかかったとき、骨盤底筋が適切に働くと尿道の支持が保たれ、漏れにくくなります。
一方で、骨盤底筋は「締め続ける筋肉」ではなく、必要に応じてゆるむことも重要です。
常に力みやすい人は、引き上げの感覚がつかみにくかったり、排尿後にすっきりしにくかったりすることがあります。
ピラティスで重視される呼吸や体幹の安定は、骨盤底筋の働きを単独ではなく全体の連動として捉える助けになります。
骨盤底筋が弱ると尿漏れが起こりやすい
骨盤底筋が弱ると、腹圧がかかった場面で尿道や膀胱の支持が追いつかず、尿漏れが起こりやすくなります。
骨盤底筋の役割の一つは、膀胱や尿道を適切な位置で支え、圧がかかったときに「下がりすぎない」ように保つことです。
支えが弱くなると、咳・くしゃみ・ジャンプ・走るなどの動作で腹圧が上がった際に、尿道を閉じる仕組みが働きにくくなる傾向にあります。
このタイプは「腹圧性尿失禁」と呼ばれ、比較的女性に多いといわれています。
たとえば、子どもを抱き上げた瞬間や、階段を急いだときに少量もれるなど、動作とセットで起きる場合は腹圧の影響が疑われるでしょう。
ただし尿漏れは骨盤底筋の筋力だけで決まるものではなく、姿勢の崩れや呼吸パターン、腹筋群や臀部の筋肉の使い方も関係します。
息を止めてお腹を固める癖があると腹圧が上がりやすく、骨盤底筋に負担がかかりやすい点も見逃せません。
運動でのケアを考える際は、「締められるか」だけでなく「必要なときに働き、不要なときにゆるむか」という機能面まで意識することが大切です。
骨盤底筋が弱りやすくなる原因
骨盤底筋が弱りやすくなる背景には、出産や加齢だけでなく、姿勢・体重変化・生活習慣など複数の要因があります。
代表的なのは妊娠・出産で、胎児の重みや分娩による組織への負担により、骨盤底筋群や周辺の支持組織が影響を受けることがあります。
更年期以降は女性ホルモンの変動により、筋肉や結合組織の柔軟性・支持性が変化しやすいとされ、これも尿漏れの悩みが増える要因のひとつです。
このほか、肥満や便秘、慢性的な咳(喫煙や喘息など)も腹圧がかかる状態が増えて、骨盤底筋への負担が積み重なる可能性があるのです。
姿勢の影響も大きく、反り腰や猫背で体幹の安定が崩れると、骨盤の位置が変わり、骨盤底筋が働きにくくなってしまいます。
なお、骨盤底筋は弱るだけでなく「過緊張(力が抜けにくい)」が関わるケースもあり、単純に締める練習だけでは合わないこともあります。
尿漏れが続く、急に悪化した、痛みや血尿を伴うなどの場合は、運動の前に医療機関へ相談する判断も大切です。
ピラティスで尿漏れの改善は期待できる?
ピラティスで尿漏れの改善が期待できるかは、「尿漏れのタイプ」がポイントです。
骨盤底筋や呼吸、姿勢のコントロールが関わるタイプでは変化が出やすい一方で、感染症や排尿障害など医療的な原因が疑われる場合は、運動だけでの対応は難しい場合があります。
尿漏れは大きく「腹圧性尿失禁」「切迫性尿失禁」「溢流性尿失禁」などに分けられ、混在することもあります。
ここでは代表的な尿漏れのタイプとピラティスで改善できるかどうかについて解説していきます。
改善が期待できるかどうかは尿漏れの原因による
ピラティスで改善が期待できるのは、骨盤底筋の機能低下や腹圧コントロールの乱れが関与しているケースです。
尿漏れは「筋力だけ」の問題ではなく、姿勢の崩れや呼吸パターン、体幹の安定性、日常動作の力み癖が重なって起こることがあります。
ピラティスは、胸郭の動きと連動した呼吸(ラテラル呼吸など)を使いながら、腹横筋・多裂筋・横隔膜・骨盤底筋群を協調させる考え方が中心です。
この協調が整うと、咳や動作で腹圧が上がる場面でも、骨盤底筋が「支える」「ゆるめる」を切り替えやすくなると考えられます。
一方で、膀胱炎などの感染症、尿路結石、神経疾患、前立腺肥大(男性)、重度の骨盤臓器脱などが背景にある場合、運動だけで改善するのは難しいでしょう。
たとえば「急に漏れ始めた」「痛みや発熱がある」「尿が出にくい・残る感じが強い」などは、まず原因の確認が最優先にしたいポイントです。
尿漏れは恥ずかしさから我慢しがちですが、原因によって選ぶべき対策が変わるため、タイプの見極めが結果的に改善の近道になり得ます。
軽度の腹圧による尿漏れ|ピラティスで変化が期待されやすい
咳・くしゃみ・ジャンプなど「腹圧が上がる動作で少量もれる」腹圧性尿失禁は、ピラティスで変化を感じやすいタイプです。
このタイプは、骨盤底筋群や周辺の支持組織が腹圧に負けやすい状態で起こるとされ、出産後や更年期以降、体重増加、慢性的な咳などが背景になることがあります。
ピラティスの利点は、骨盤底筋を単独で締めるのではなく、呼吸と体幹の安定の中で「必要なときに引き上げる」練習ができる点です。
たとえば、息を止めて腹筋を固める癖がある人は、動作のたびに腹圧が急上昇し、漏れやすさにつながることがあります。
呼気を使いながら動く練習を重ねると、腹圧のピークを抑えやすくなり、同じ動作でも骨盤底筋の負担が減る可能性があります。
ただし、漏れがある状態でジャンプ系や高負荷の腹筋運動を急に増やすと、腹圧が勝って症状が出やすいこともあるので注意が必要です。
まずは仰向けや四つ這いなど負担の少ない姿勢で、呼吸と骨盤底の引き上げ・リリースの感覚を作る流れがいいでしょう。
急な尿意で間に合わない|ピラティスが改善を助けることもある
急な尿意で間に合わない切迫性尿失禁は、ピラティスが直接の治療になるとは限りませんが、日常のサポートになる可能性があります。
切迫性尿失禁は膀胱の過活動(過活動膀胱)などが関与することがあり、骨盤底筋だけで説明できないケースも少なくありません。
それでも、姿勢の崩れや慢性的な力み、浅い呼吸が続くと、下腹部が常に緊張して尿意のコントロールが難しくなる人がいます。
ピラティスで胸郭を広げて呼吸し、体幹を安定させながら不要な緊張を減らせると、トイレを我慢する場面の「焦り」を緩和する可能性があります。
実際の現場でも、腰を反って胸を張るような姿勢で腹部が張りやすい人ほど、呼吸と骨盤のニュートラルを整えるだけで尿意の波が落ち着くと感じることがあるのです。
一方で、頻尿が急に始まった、夜間頻尿が急増した、強い尿意と痛みがあるなどは、膀胱炎や他の疾患の確認が必要です。
切迫性が疑われる場合は、膀胱訓練や薬物療法など医療的な選択肢もあるため、ピラティスは「補助」として位置づけるといいでしょう。
出し切れずにだらだら漏れる|ピラティスによる変化は狙いにくい
排尿後も出し切れずにだらだら漏れる溢流性尿失禁が疑われる場合、ピラティスでの改善は狙いにくく、まず原因を考えることが重要です。
溢流性は、尿がうまく出せず膀胱にたまった結果、あふれるように漏れる状態で、残尿感や排尿に時間がかかるなどの症状を伴うことがあります。
背景には、神経の障害、膀胱の収縮力低下、薬の影響、男性であれば前立腺肥大、などが関係していることが多いです。
エクササイズだけでの変化は期待しにくい場合があります。
骨盤底筋を「締める」方向の練習を強めると、もともと出しにくい状態をさらに助長し、排尿が不完全になってしまう可能性も。
また、骨盤底筋の過緊張が強い人では、引き上げよりも「ゆるめる」練習が先になることがあり、自己流での判断が難しくなります。
残尿感が続く、尿が出にくい、下腹部が張る感じがある場合は、まずは泌尿器科で残尿量の評価などを受けてみてください。
血尿・痛み・発熱など急な悪化|医療機関への相談を優先する
血尿、排尿痛、発熱、強い下腹部痛などがある場合は、ピラティスより先に医療機関への相談を優先しましょう。
これらは尿路感染症(膀胱炎・腎盂腎炎)や尿路結石など、早めの治療が望ましい状態のサインになり得ます。
また、急に尿漏れが始まった、短期間で悪化した、尿が出ない・出にくい、強い残尿感があるといった変化も、運動で様子を見るよりまず原因の確認が必要です。
運動は血流や自律神経に影響し、体調によっては症状を強く感じることもあります。
受診先の目安は、女性は泌尿器科または婦人科、男性は泌尿器科が一般的で、症状の経過や頻度、漏れる場面をメモしておくと相談のときにスムーズです。
医療的な問題が否定されたうえで、腹圧コントロールや姿勢改善としてピラティスを取り入れると、納得感を持って継続しやすくなります。
安全に続けるためにも、「運動で様子を見るべき症状」と「受診を優先すべき症状」を分けて考えることが大切です。
ピラティスが尿漏れに良いと言われる理由
ピラティスが尿漏れケアに役立つと言われるのは、骨盤底筋群を「締める筋トレ」としてではなく、呼吸・姿勢・体幹の安定とセットで機能させる練習になりやすいからです。
腹圧性尿失禁のように、咳や動作で腹圧が上がった瞬間に「支え」が間に合わないタイプでは、身体の使い方を整えること自体が対策になります。
ここでは、ピラティスが尿漏れケアに役立つ仕組みをポイントごとに整理していきましょう。
体幹と骨盤底筋を一緒に鍛えやすい
ピラティスは、体幹と骨盤底筋群を同時に働かせる練習になりやすく、尿漏れケアの土台づくりに向いています。
骨盤底筋群は、膀胱や尿道を下から支えるだけでなく、腹圧の受け皿としても働く筋群です。
ただし現実には、骨盤底筋だけを「締める」指示で練習すると、お尻や内ももに力が逃げたり、息を止めて腹圧を上げたりと、狙いと逆になってしまうことがあります。
ピラティスでは、腹横筋・多裂筋・横隔膜・骨盤底筋群が協調して働くという考え方を重視します。
呼気で肋骨が閉じる動きに合わせて下腹部が薄くなり、骨盤底が引き上がる感覚を作ると、力みを抑えながら「支える」方向に体を使えるでしょう。
たとえば、仰向けで膝を立てた姿勢や四つ這いは、重力の影響が小さく、骨盤底に過剰な負荷をかけにくい姿勢です。
この姿勢で、吐きながら骨盤の下から持ち上がる感覚を作り、吸気でゆるむ感覚も確認できると、締めっぱなしによる過緊張も避けやすくなります。
体幹と骨盤底を「セットで働かせる」練習を積み重ねることで、咳や立ち上がりなど日常動作での腹圧変化にも対応しやすくなるでしょう。
姿勢が整うことで骨盤に力が入りやすい
姿勢が整うと骨盤底筋群が働きやすい位置に近づき、結果として尿漏れが起こりにくい身体の使い方につながりやすいでしょう。
骨盤底筋は、骨盤が大きく前傾・後傾すると長さや張力の条件が変わり、力を出しにくくなることがあります。
反り腰の状態だと下腹部が前に押し出されやすく、腹圧が前方に偏って骨盤底に負担がかかりやすいと感じる人もいるでしょう。
猫背では胸郭がつぶれて呼吸が浅くなり、息を止める・いきむ、などが増えやすい点が課題です。
ピラティスは背骨の並びと骨盤のニュートラルを意識して動くため、骨盤底に力が伝わりやすい土台を作りやすいのが特長です。
具体的には、肋骨が開きっぱなしで腰を反らせるのではなく、肋骨と骨盤の距離を保ち、骨盤が傾きすぎない位置を探します。
そのうえで股関節を使って動けるようになると、立ち上がりや抱っこなどで腰だけに負担が集中しにくくなります。
姿勢リセットは見た目の問題に留まらず、骨盤底筋が働く「条件」を整える意味があり、尿漏れケアでは見落としたくないポイントです。
呼吸で腹圧をコントロールしやすい
ピラティスは呼吸を重視するため、腹圧の急上昇を抑える練習になり、尿漏れの引き金を減らす助けになります。
腹圧は本来、横隔膜・腹筋群・骨盤底筋群が協調して調整する圧力です。
ところが、重い物を持つ、起き上がる、咳をする場面で息を止める癖があると、腹圧だけが上がって骨盤底が押し下げられやすくなります。
ピラティスで用いられるラテラル呼吸は、肋骨を横や後ろに広げる意識を持ちやすく、胸郭の柔軟性を保ちながら呼吸を続ける練習になります。
吐く息に合わせて下腹部が薄くなり、骨盤底が引き上がる感覚を作れれば、動作時に「吐きながら支える」がしやすくなります。
たとえば、立ち上がりや物を持ち上げる直前に短く息を吐き、同時に骨盤底を軽く引き上げると、腹圧のピークをなだらかにしやすいでしょう。
なお、呼吸を頑張りすぎてお腹を硬く固めると、骨盤底が下がる方向に押される場合があります。
呼吸は「吐けているか」「止めていないか」を優先し、骨盤底は引き上げとリリースの両方を練習することが、悪化を避けるうえでも重要です。
ピラティスで尿漏れを悪化させないコツ
尿漏れケア目的でピラティスをする際は、「頑張って力を入れるほど良い」とは限りません。
息を止めていきむ、腹筋を固め続ける、反り腰で動くといった癖は腹圧を急に高め、骨盤底筋群に下向きの負荷をかけやすいからです。
大切なのは、吐く呼吸で腹圧のピークをなだらかにし、骨盤底筋を「引き上げて、ゆるめる」リズムを取り戻すことです。
このセクションでは、尿漏れが気になる方が避けたい動きと、代わりに意識したい身体の使い方を整理します。
息を止めずに吐くことを優先する
尿漏れが気になる場合、動作中に息を止めないことを最優先にしましょう。
息を止めると腹圧が一気に高まり、骨盤底筋群が下方向へ押されやすくなります。
ピラティスで重視されるラテラル呼吸(肋骨を横・後ろに広げる呼吸)は、呼吸を続けながら体幹を安定させる練習に向いています。
とくに「きつい局面」で吐けるかどうかが重要で、起き上がる、脚を伸ばす、ブリッジで持ち上げるなどで息が止まりやすい傾向にあるので注意しましょう。
実践の目安は、動作のスタートで鼻から吸い、負荷が上がる瞬間に口から細く長く吐くことです。
吐く息に合わせて肋骨が内側へ戻り、下腹部が薄くなる感覚が出ると、腹横筋と骨盤底の協調が起こりやすくなります。
たとえば、ペルビックカールやショルダーブリッジでは「持ち上げるときに吐く」「下ろすときに吸う」を意識すると、いきみを減らしやすいでしょう。
咳やくしゃみの前に短く吐く、立ち上がる直前に吐いて骨盤底を軽く引き上げるといった日常での応用も、腹圧性の漏れ対策としておすすめです。
反対に、呼吸を頑張りすぎて胸や肩が上がる場合は、吸い過ぎで力みが出ている可能性があります。
お腹をガチガチに固めない
尿漏れ対策では、お腹を固め続ける「力みの体幹トレーニング」を避けることが大切です。
腹筋を強く固めると、呼吸が浅くなりやすく、結果として息止めやいきみにつながることがあります。
さらに、腹圧を受け止める役割は腹直筋だけではなく、横隔膜・腹横筋・多裂筋・骨盤底筋群の協調で成り立つ点もポイントです。
体幹を安定させたい場面でも、必要なのは「硬さ」より「薄さ」と「持続できる張り」です。
目安としては、下腹部は軽く内側へ薄くなる一方で、みぞおち周辺は押されても呼吸が続く程度の柔らかさを残しています。
腹筋に効かせようとしてお腹をへこませ過ぎると、肋骨が落ちて呼吸が止まり、骨盤底のリズムも崩れやすくなります。
実際に、腹筋に力を入れた途端に漏れやすくなる方もいるようです。
その場合は、回数や負荷を上げるより、動作を小さくして「吐きながら動ける」強度まで戻すほうが結果的に安定します。
種目選びとしては、プランクのように息が止まりやすい形より、仰向けや四つ這いで呼吸を保ちやすい姿勢から始めると安心です。
体幹の感覚としては「硬くする」より「呼吸しながら支える」に切り替えると、尿漏れ悪化のリスクを下げられるでしょう。
反り腰でエクササイズを続けない
反り腰のまま力むと、骨盤底に負担が集まりやすいため注意が必要です。
腰が反る姿勢では骨盤が前傾しやすく、下腹部が前に押し出されることで腹圧のかかり方が偏る場合があります。
その結果、骨盤底筋群が「引き上げる」より「押し下げられる」方向に働き、腹圧性の漏れが出やすいと感じる方もいます。
反り腰は見た目の姿勢だけでなく、肋骨が開きっぱなしになる「リブフレア(肋骨の開き)」とセットで起こることが多い点もポイントです。
この状態では横隔膜の動きが小さくなり、吐く呼吸が弱くなって息止めに移行しやすくなります。
そうならないためには、肋骨と骨盤を向かい合わせる意識を持って背骨を上へ長く保つことが大切です。
仰向けなら、腰の隙間を潰し過ぎず残し過ぎず「中間(ニュートラル)」を探し、恥骨とおへそが同じ高さに近づく感覚を目安にしてみてください。
立位や四つ這いでも、みぞおちが前に突き出ないようにし、吐く息で肋骨が内側へ戻る感覚を加えると反り腰の補正がしやすくなるでしょう。
痛みが出るほど腰を丸める必要はなく、呼吸が通って骨盤が安定する位置を探すことが重要です。
反り腰を避けて動けるだけで、骨盤底が働く条件が整い、尿漏れケアの再現性が上がります。
骨盤底筋はまずは引き上げてゆるめる
骨盤底筋群は「締める」より先に、「引き上げて、ゆるめる」練習が欠かせません。
尿漏れがあると、漏れないように常に締め続けたくなりますが、骨盤底が過緊張になるとタイミングよく収縮できず、逆に漏れやすくなることがあります。
筋肉は縮むだけでなく、必要な場面で縮み、不要な場面でゆるむことで機能します。
ピラティスで狙うのは、吐く息で骨盤底がふわっと持ち上がり、吸う息で自然に戻るというリズムです。
感覚がつかみにくい場合は、まず仰向けで膝を立て、会陰部(股の間)が内側へ吸い上がるようなイメージを使うといいでしょう。
このとき、お尻を強く締めたり内ももを挟んだりすると代償が起こりやすいため、股関節周りは余計に力を入れないことがポイントです。
練習は、吐いて3〜5秒かけて引き上げ、吸って同じ時間でゆるめるサイクルから始めると過負荷になりにくいです。
引き上げが分からないのに回数だけ増やすと、いきみや反り腰を招いて本末転倒になりかねません。
「締めたら終わり」ではなく、ゆるめて戻れることまで含めて成功と捉えると、骨盤底の働きのサポートが期待できます。
この引き上げとリリースが安定してきたら、日常動作(立ち上がり、咳、荷物を持つ)に合わせて短く使う練習へ進めてみてください。
尿漏れをケアするのにピラティスの頻度と期間
尿漏れのケア目的でピラティスを取り入れるなら、目安は「週2〜3回を3か月」と「自宅での短時間の積み重ね」です。
骨盤底筋群は一度強く鍛えるより、呼吸と連動させて正しいタイミングで働かせる練習を続けることで機能が整いやすいとされています。
一方で、回数を急に増やしたり、息を止めて強度を上げたりすると、腹圧が上がって漏れが悪化することもあります。
頻度は「少なくても継続できる形」を基準にし、漏れや違和感が増える場合は負荷とフォームを見直すことが大切です。
目安は週2〜3回でまずは3か月続ける
目安としては、週2〜3回のピラティスをまずは3か月続けると、変化を感じやすくなります。
骨盤底筋群は、筋力そのものだけでなく「腹圧が上がる場面で反射的に働けるか」という協調が重要です。
この協調は、呼吸(横隔膜)・腹横筋・多裂筋など体幹の筋群との連動で育ちやすく、一定期間の反復が必要と考えられます。
ただし、症状の程度や原因(過活動膀胱、骨盤臓器脱など)によっては、運動だけでの改善が難しいこともあります。
3か月経っても変化が乏しい、あるいは悪化する場合は、種目の強度やフォームの見直しに加え、医師への相談も検討するといいでしょう。
最初の2週間は感覚づくり|呼吸と引き上げを優先する
最初の2週間は、回数や負荷より「呼吸と骨盤底の引き上げが分かること」を優先すると、遠回りになりにくいです。
尿漏れが気になる方ほど、漏れないように腹筋やお尻を強く使いがちですが、これは息止めや反り腰を招き、腹圧を急に高める原因になり得ます。
骨盤底筋群は「締めっぱなし」ではなく、吐いて引き上げ、吸ってゆるめるリズムが機能回復の土台になります。
短くても「吐ける・ゆるめられる」を成功条件にすることが重要です。
自宅では毎日1〜3分と短時間でOK
自宅での練習は、毎日1〜3分の短時間だと積み重ねやすく、続けることでメリットも期待できます。
骨盤底筋群のトレーニングは、筋肥大を狙うというより、日常で必要なタイミングに合わせて働かせる「運動学習」の側面が大きいからです。
短時間であれば、疲労や力みが出にくく、息止めや締めっぱなしといった悪化要因も避けやすくなります。
尿意や痛みなどの症状が強い場合は、運動の工夫と並行して医療機関で原因評価を受けることで安心して続けられるでしょう。
慣れてきたら回数より質を上げる
慣れてきた段階では、回数を増やすより「息が止まらない強度で、フォームの再現性を上げる」ほうが結果につながりやすいです。
質を上げる具体策としては、「動作を小さくする」「テンポを遅くする」「吐く時間を長くする」「最後の1回でも吐けているか確認する」が有効です。
漏れが増える、下腹部が重い、骨盤に違和感が出る場合は、質が落ちたサインとして強度や種目を戻す判断が必要です。
尿漏れケアに自宅でできるピラティスエクササイズ
自宅での尿漏れケアは、「吐く呼吸に合わせて骨盤底筋を引き上げ、吸ってゆるめる」を守れる種目から始めるのがおすすめです。
ここで紹介するのは、床ででき、腹圧を急に上げにくい4つの基本エクササイズです。
共通ルールは「息を止めない」「お腹を固め過ぎない」「反り腰で頑張らない」「引き上げたらゆるめる」なので、意識しながら試してみてください。
ニュートラルポジションとラテラル呼吸
尿漏れケアの第一歩は、ニュートラルポジションでラテラル呼吸(肋骨を横・後ろに広げる呼吸)を行い、骨盤底筋を「引き上げてゆるめる」リズムを作ることです。
- 仰向けで膝を立て、骨盤が前にも後ろにも傾き過ぎない位置を探す
- 鼻から吸って肋骨を横と背中側に広げ、口から細く長く吐きながら肋骨を内側へ戻す
- 会陰部が内側へふわっと持ち上がる感覚を目印にする
- 締めっぱなしにならないよう、吸う息で「ゆるむ」感覚も必ずセットにする
呼吸は3〜5回から始め、慣れてきたら日中の立ち上がり前に「短く吐いて軽く引き上げる」を1回入れると応用しやすいでしょう。
ペルビックティルト
ペルビックティルトは、骨盤の前後傾を小さくコントロールし、反り腰や力みを減らしながら骨盤底筋の働きを引き出すのに向いている種目です。
- 仰向けで膝を立て、背中の自然なカーブを保てる位置を出発点にする
- 口から吐きながら、恥骨をみぞおち側へ軽く引き上げるイメージで骨盤を後傾方向へ動かす
- 腰の隙間が少し埋まる程度で止める
- 吸いながらニュートラルへ戻し、吐いて後傾、吸って戻すを5〜8回繰り返す
動きを大きくし過ぎないこと、吐く息で引き上げ、吸ってゆるめることがコツです。
ペルビックカール
ペルビックカールは、背骨を下から順に丸めて持ち上げることで、呼吸と体幹の協調を保ちながら骨盤周りの安定を高めてくれるエクササイズです。
- 仰向けで膝を立て、足幅はこぶし1〜2個分を目安に
- 吐きながらペルビックティルトで腰の隙間を少し埋める
- そのまま尾骨→腰→背中の順に背骨を1つずつ床から離すように持ち上げる
- 頂点は「肩から膝がゆるい斜め一直線」程度でOK
- 吸って胸郭の広がりを保ち、吐きながら背中→腰→尾骨の順に静かに下ろす
肋骨が開く、みぞおちが固まる、息が止まる場合は強度が高いサインなので、持ち上げる高さを下げるかティルトに戻してみてください。
ショルダーブリッジ
ショルダーブリッジは、股関節主導で骨盤を安定させ、日常動作に近い形で体幹と骨盤底筋の協調を練習しやすい種目です。
- 仰向けで膝を立て、かかとは膝の真下付近に置く
- 吐きながら骨盤底を軽く引き上げ、恥骨を少しだけ上に向ける
- 腰ではなく股関節が伸びる感覚を優先する
- 上で1呼吸し、吐いて肋骨が開かないことを確認し、吸いながらゆっくり下ろす
尿漏れ対策では「高く上げる」より「吐ける強度で安定させる」ほうが再現性につながりやすいといえます。
ピラティスと尿漏れのよくあるQ&A
ピラティスは尿漏れケアの助けになりますが、途中で「トイレが近い」「締めるほど漏れる」などの疑問が出やすいのも事実です。
ここでは、よくある質問に答えながらピラティスと尿漏れについての理解を深めていきましょう。
ピラティス後にトイレが近くなるのはどうして?
一時的にトイレが近くなることはあり、必ずしも悪いこととは限りません。
呼吸が深くなって腹部や骨盤周りの緊張がゆるみ、これまで我慢していた尿意に気づきやすくなることがあります。
ただし、尿意が急に強くなる、排尿時の痛み、血尿、発熱がある場合は、膀胱炎など別の原因も考えられます。
その際は運動で様子を見るより、医療機関へ相談するほうがいいでしょう。
セルフケアとしては、運動前後のカフェインやアルコールを控えめにし、冷えを避け、強度を上げ過ぎない、など試してみてください。
頑張って締めるほど漏れてしまう…
強く締めるほど漏れる場合、骨盤底筋が「働き過ぎてゆるめられない」状態になっている可能性があります。
強く締めようとすると、息を止めたりお腹を固めたりして腹圧が下向きに高まる点も注意が必要です。
対策は「弱く短く引き上げ、必ずゆるめる」を徹底することです。
吐く息に合わせて会陰部が内側へふわっと持ち上がる程度にとどめ、吸う息で力が抜ける感覚をセットにします。
それでも漏れが増える、骨盤の重さや痛み、排尿しにくさが続く場合は、骨盤底の評価を受けることも検討するといいでしょう。
尿漏れ対策でスタジオに通うなら何をみればいい?
尿漏れ対策でスタジオを選ぶなら、「呼吸と腹圧」「姿勢と骨盤の位置」「骨盤底筋の評価と修正」を具体的に見てくれるかが重要です。
- 確認したいポイントは次のとおりです。
- 指導者がピラティスの資格に加え、産前産後や骨盤底に関する研修・知識を持っているか
- 尿漏れのタイプや既往歴を聞き取り、禁忌や注意点を説明してくれるか
- 呼吸と骨盤のニュートラルを優先し、いきみを止めてくれるか
- グループでも個別にフォーム修正をしてくれるか(必要ならパーソナルも提案)
産後早期、骨盤臓器脱が疑われる症状、手術歴がある場合は、医療職と連携できる環境だと安心です。
いつ頃から効果を感じられる?
目安としては、週2〜3回の実践を続けると、早い人で数週間、一般的には3か月前後で変化を自覚することがあります。
変化の指標は、漏れの回数だけでなく、日常動作の不安が減る、パッドの使用量が減る、くしゃみの前に吐いて支えられる感覚が出るなどが挙げられます。
記録を取ると小さな改善を見逃しにくく、継続の判断材料にもなります。
- 漏れた状況(咳、走行、急な尿意など)
- 量(下着が少し湿る/パッド交換が必要など)
- その日の体調(睡眠、冷え、便秘、ストレス)
- 行った種目と強度(吐けたか、いきんだか)
3か月続けても改善が乏しい、むしろ悪化する、原因がはっきりしない尿漏れがある場合は、泌尿器科や婦人科、骨盤底リハビリに詳しい医療職へ相談するのもひとつです。
まとめ|ピラティスで尿漏れケアに大切なのは骨盤底筋の働きを整えること
ピラティスで尿漏れをケアするには、骨盤底筋群を「引き上げて、ゆるめる」動きを呼吸と一緒に身につけることです。
筋力だけで押し切るより、腹圧が上がる瞬間に支えられるタイミングと、過緊張を防ぐ弛緩の両方を整えるほうが、日常の漏れ対策に結びつきやすいといえます。
「ピラティスで対応できる範囲を理解して続ける」と「不調のサインを見逃さない」を両立させることが、長期的な改善につながりやすいでしょう。
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