ピラティスで体幹は鍛えられる?効果が期待できる理由と自宅トレーニング、ヨガとの違いを解説
ピラティスは、体幹のインナーマッスルとアウターマッスルを同時に働かせやすいエクササイズの一つです。
週2〜3回・3か月程度の継続で「姿勢の安定」や「動きやすさ」の変化が期待できるとされています。
- この記事では、以下の内容について解説していきます。
- ピラティスで体幹を鍛えやすい仕組みと特徴
- 体幹強化で期待できる姿勢・腰肩へのメリット
- ピラティスと体幹トレーニング・ヨガの違い
- マシン/マット別の体幹アプローチと選び方
- 自宅でできる基本エクササイズと頻度の目安
体力や運動経験に応じて取り入れやすい方法を整理しているので、自分に合う体幹トレーニングの始め方を検討する際の参考になれば幸いです。
この記事の
監修者
永田 真子
(ながた まこ)
ヨガ指導歴歴9年。
ホットヨガスタジオloIveトレーナーとして、インストラクター育成やレッスン開発、ボディメイクやダイエット目的としたWS開催を担当。
その経験を活かし、現在はマシンピラティス専門スタジオpilatesKシニアトレーナーとして全国9エリアに在籍する技術指導トレーナーを束ねるレッスンクオリティ責任者として活動。
ピラティスで体幹を鍛えやすい理由とメカニズム
ピラティスは「体幹を意識する」エクササイズが多く、自然とインナーマッスルを使う習慣が身につきやすいです。
呼吸・骨盤と背骨の位置・手足の動かし方・回数より質を重視する考え方が組み合わさることで、体幹を働かせる環境が整っていきます。
ここでは、ピラティスが体幹にどのようにアプローチしているのかを分かりやすく解説していきます。
呼吸と腹圧で“体幹の土台”を作りやすい
ピラティスでは胸式呼吸とお腹の引き締めを同時に行うため、体幹を支えるインナーマッスル(深層の筋肉)が自然と働きやすい状態を作りやすいとされています。
呼吸そのものをトレーニングの一部ととらえることで、動いていない時間も体幹が安定しやすい土台づくりにつながっていきます。
ピラティスの代表的な呼吸法である「胸式ラテラル呼吸」は、肋骨を横と後ろに広げるように息を吸い、吐くときに肋骨を締めながらお腹を引き込むのが特徴です。
お腹をふくらませる腹式呼吸とは違い、息を吸ってもお腹は薄いままを保ちます。
このとき、コルセットのようにお腹を囲む腹横筋(ふくおうきん)や、骨盤の底を支える骨盤底筋群が働きやすくなり、腹圧が安定しやすくなると考えられています。
腹圧が安定すると、背骨が内側から支えられるイメージになり、腰への負担が減りやすいとされているのです。
たとえば、レッスン中に「吐く息でおへそを背骨に近づけるように」「肋骨を締めながら腰を長く保つ」といった声かけが入るのは、このインナーマッスルを意識しやすくするためです。
ただし、慣れないうちは肩や首に力が入りやすく、呼吸が浅くなってしまうこともあります。
最初のうちは「仰向けで手を肋骨に当てて練習する」「息を止めないことだけ意識する」といったシンプルなステップから始めると、体幹の土台づくりが比較的スムーズに進められるでしょう。
骨盤と背骨の位置を整えながら動くので体幹がサボりにくい
ピラティスでは骨盤と背骨を「ニュートラル」と呼ばれる自然な位置に保ちながら動くことで、体幹の筋肉が常に姿勢の微調整を行い、サボりにくい状態を目指します。
筋力トレーニングのように一部の筋肉だけで頑張るのではなく、骨格のアライメント(配列)を整えたうえで体幹全体を使うのが特徴とされています。
ニュートラルポジションとは、仰向けに寝たときに腰の下に手のひら一枚分のすき間がある程度の腰のカーブや、立ったときに耳・肩・骨盤・くるぶしが一直線に近い状態を指します。
この位置を保つには、腹横筋や多裂筋(背骨の深層にある筋肉)などのインナーマッスルが常に働いていることが必要です。
ピラティスのレッスンで「骨盤を床と平行に」「腰は丸めすぎず反らせすぎず」といった指示が多いのは、このニュートラルを意識しやすくするためです。
たとえば、同じ腹筋系の運動でも、腰を大きく丸めて行うと、首や太ももの前ばかりに効いてしまうことがあります。
ピラティスでは、骨盤や背骨の位置を細かく修正しながらエクササイズを進めていくため、体幹が「サボって他の筋肉に任せる」癖がつきにくくなると考えられています。
その結果、見た目の姿勢だけでなく、立つ・座るといった日常姿勢も安定しやすくなることが期待できるのです。
一方で、もともと反り腰や猫背が強い方は、ニュートラルの感覚をつかむまでに時間がかかる場合もあります。
その場合は、インストラクターに触れてもらいながら位置を確認したり、鏡を活用したりすると、自分の「楽な姿勢」と「本来のニュートラル」の違いを理解しやすくなるでしょう。
手足を動かしても体幹がブレにくいエクササイズが多い
ピラティスのエクササイズは、体幹を安定させたまま手足を大きく動かすものが多く、「動きながら支える体幹」を養いやすい構成になっているといわれます。
静止した状態でお腹を固めるだけでなく、実際の生活に近い「動的な安定性」を高めやすい点が特徴です。
代表的な例として、仰向けで脚を交互に動かす「シングルレッグストレッチ」や、うつ伏せで手足を交互に上げ下げする「スイミング」などがあります。
これらは、骨盤や肋骨をできるだけ動かさずに、脚や腕だけをコントロールするエクササイズです。
体幹が働いていないと、腰が反ったり、骨盤が左右に揺れたりしてしまうため、自分でも「ブレた」「安定した」の違いを体感しやすいのが特徴です。
このような動きは、歩く・階段をのぼる・荷物を持つといった日常動作に直結しやすいです。
たとえば、片足立ちで靴下をはくときにふらつきやすい人は、体幹の安定性が十分でないケースが多いといわれています。
ピラティスで「体幹を固定して手足を動かす」練習を重ねることで、片足に体重を乗せたときのぐらつきが減り、スポーツや日常動作のパフォーマンス向上につながる可能性もあるでしょう。
回数より「動きの質」を重視する
ピラティスは「何回やったか」よりも「どのように動いたか」を重視するため、体幹に正しく刺激が入りやすく、少ない回数でも効率的に鍛えやすいです。
たとえば同じ腹筋系のエクササイズでも、腰を反らせたまま勢いで起き上がれば、回数はこなせても腰を痛めたり、首だけが疲れたりするリスクがあります。
ピラティスでは「おへそを背骨に引き寄せてから動き始める」「肋骨を締めながら上体を起こす」といった細かなポイントを確認しながら進めるため、体幹のインナーマッスルとアウターマッスルがバランスよく働きやすくなるのです。
レッスンでは、1種目あたり10回前後でも十分とされるケースが多く、「回数が少ないのにお腹まわりがじんわり疲れる」「翌日にインナーの筋肉痛を感じる」といった声もよく聞かれます。
これは、フォームが整うことで、今まで使えていなかった筋肉に負荷が届いているサインと考えられるでしょう。
一方で、フォームが崩れた状態で回数だけ増やすと、かえって腰や肩への負担が増えることもあります。
そのため、特に初心者のうちは「疲れてフォームが乱れ始めたところがやめどき」と考えるのがおすすめです。
質を優先して体幹を鍛える習慣がつくと、短時間のエクササイズでも変化を感じやすくなり、長く続けることにもつながりやすいでしょう。
体幹を鍛えると何が変わる?期待できる3つのメリット
体幹を鍛えることで、見た目の姿勢だけでなく、腰や肩の負担軽減を目指す、日常動作のしやすさなど、生活全体に関わる変化が期待できるとされています。
ここでは、そもそも体幹とは何かを整理したうえで、代表的な3つのメリットをまとめています。
そもそも体幹とは?インナーとアウターの違い
体幹とは、お腹や背中、骨盤まわりなど「胴体のすべて」を支える筋肉の総称で、インナーマッスルとアウターマッスルの両方を含みます。
どちらか片方だけを鍛えるのではなく、役割の違いを理解したうえで、バランスよく使えるようにしていくことが大切です。
インナーマッスルは、身体の深いところにある小さめの筋肉で、代表的なものに腹横筋、多裂筋、骨盤底筋群、横隔膜などがあります。
これらは、背骨や骨盤を内側から支え、姿勢の微調整をしたり、腹圧を保ったりする「安定役」です。
動きとしては大きくは見えませんが、ピラティスの胸式ラテラル呼吸や、ニュートラルポジションを保つ動きの中で働きやすくなるといわれています。
一方、アウターマッスルは表層にある大きな筋肉で、腹直筋(いわゆるシックスパック)、腹斜筋、脊柱起立筋、広背筋などが代表例です。
体を曲げる・ひねる・反らすといった大きな動きや、重いものを持ち上げるときの「パワー役」を担います。
一般的な腹筋運動や筋トレでは、このアウターを中心に鍛えることが多いといえるでしょう。
体幹トレーニングというと、プランクのようにお腹を固めるイメージが強いかもしれません。
しかし、インナーだけ鍛えても力が発揮しづらく、アウターだけ鍛えると姿勢が崩れやすくなるとされています。
インナーが土台を安定させ、アウターがその上で動くという協調関係が整ってこそ、「使える体幹」に近づいていくのです。
ピラティスは、このインナー・アウター両方を同時に意識しやすいメソッドといえるでしょう。
メリット①姿勢が崩れにくい状態を目指せる
体幹を鍛えることで、背骨と骨盤を支える土台が安定し、猫背や反り腰などの崩れた姿勢が出にくい状態を目指しやすくなります。
見た目の印象だけでなく、同じ姿勢を続けたときの疲れ方にも変化が出やすくなるといわれています。
姿勢が崩れる大きな要因の一つは、インナーマッスルの弱さや、インナーとアウターの働き方のアンバランスです。
たとえば、腹横筋や多裂筋がうまく働かないと、背骨を内側から支えにくくなり、背中の表層の筋肉だけで上半身を支えようとする傾向が出やすくなります。
その結果、肩が前に出る猫背や、腰だけを反らせて無理に胸を張るような姿勢になりがちなのです。
ピラティスでは、胸式ラテラル呼吸でお腹まわりを引き締めながら、骨盤と背骨をニュートラルポジションに保つ練習を繰り返します。
これにより、腹圧が安定しやすくなり、骨盤が前後に傾きすぎたり、背中が丸まりすぎたりするのを防ぎやすくなります。
レッスン中に「腰を長く保つ」「みぞおちを引き上げる」といった声かけがあるのは、まさにこの姿勢の土台づくりを促すためです。
姿勢が安定してくると、デスクワーク中に背中が丸まりにくくなったり、立ち姿が自然と伸びて見えたり、変化を感じる方も多いようです。
メリット②腰や肩への負担軽減につながる
体幹が安定すると、腰や肩、首など一部の関節だけに負担が集中しにくくなり、結果として痛みやコリの軽減につながる可能性があります。
とくに、慢性的な腰の重だるさや、肩こりに悩む人にとっては重要なポイントといえるでしょう。
腰痛の一因として、腹圧の低下や骨盤の不安定さが挙げられます。
腹横筋や骨盤底筋群が弱いと、お腹の内側の圧力(腹圧)が保てず、背骨を内側から支えにくくなります。
その状態で前かがみになったり、重い荷物を持ち上げたりすると、腰の筋肉や椎間関節に負担が集中しやすくなり、痛みにつながってしまうのです。
参考:厚生労働省「腰痛予防対策」https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_31158.html
ピラティスでは、呼吸とともにお腹を引き込み、骨盤を安定させたまま手足を動かすエクササイズが多く取り入れられています。
これにより、インナーマッスルが「常に少し働いている」状態を練習しやすくなり、日常生活でも腰まわりの支えが増えやすくなると考えられます。
同様に、肩甲骨まわりの安定性が高まると、肩だけで腕を上げるクセが減り、首や肩のこりが和らぐケースもあるとされています。
ただし、すでに強い痛みやしびれがある場合は、自己判断でエクササイズを続けるのは避けたほうが安心です。
整形外科や理学療法士などの専門家に相談し、医師の許可を得たうえで、ピラティスインストラクターに症状を共有すると、安全な範囲での体幹トレーニングを進めやすくなります。
体幹を鍛えることはあくまで「負担軽減を目指す一助」であり、治療そのものではないという視点も持っておくとよいでしょう。
メリット③日常の動作が楽に感じやすくなる
体幹が使えるようになってくると、立つ・歩く・しゃがむ・荷物を持つといった日常の動作がスムーズになり、「前より疲れにくい」「動き始めが軽い」と感じる傾向にあります。
スポーツのパフォーマンス向上だけでなく、生活の質の向上にもつながりやすい変化といえるでしょう。
日常動作の多くは、手足だけで行っているように見えて、実際には体幹でバランスを取りながら動いています。
たとえば、片手で重い買い物袋を持つとき、体幹が弱いと身体が片側に傾き、腰や肩で無理に支えようとする形になりがちです。
一方、体幹が安定していれば、骨盤と背骨で中心軸を保ちやすく、左右差の少ない姿勢で荷物を運べるようになるでしょう。
ピラティスの「体幹を固定して手足を動かす」エクササイズは、このような動きの土台づくりにあたります。
スイミングやテーブルトップのような動きで、体幹を安定させながら腕・脚を交互に動かす練習を重ねると、歩行や階段の上り下りでも、余計なブレが減っていくことが期待できます。
結果として、同じ距離を歩いても疲れにくくなったり、長時間立っていても腰が重くなりにくいと感じる方もいます。
こうした変化は、数回のレッスンで劇的に現れるというより、「気づけば楽になっていた」という形で徐々に感じることが多いようです。
ピラティスと体幹トレーニングはどう違う?
ピラティスと一般的な体幹トレーニングは、どちらも「体幹を鍛える」点は共通ですが、目的やアプローチが異なります。
この違いを知っておくと、自分の目的に合ったメニューを選びやすくなります。
ここでは、両者の特徴を比較しながら、「ピラティスを選ぶとき」「筋トレを選ぶとき」「両方を組み合わせるとき」の考え方を整理していきましょう。
ピラティスは全身のバランスを整えることを重視
ピラティスは、体幹だけを局所的に鍛えるのではなく、全身のバランスと動きの質を整えることを重視したメソッドです。
筋肉を「大きくする」より、「どう使うか」を学ぶ要素が強いのが特徴といえるでしょう。
ピラティスでは、胸式ラテラル呼吸でお腹まわりを引き締めながら、背骨や骨盤をニュートラルポジションに保つことを意識します。
そのうえで、手足を動かしたり、背骨をしなやかに動かしたりするため、腹横筋や多裂筋などのインナーマッスルが自然に働きやすい環境が整います。
結果として、「体幹の土台を保ちながら全身を連動させる」練習になりやすいのです。
例えば、ピラティスで大切にするポイントは次のようなものです。
- 骨盤と肋骨の位置関係を保つ
- 左右差を減らし、ねじれや歪みのケアにつなげる
- 呼吸と動きを合わせて、力みすぎない状態で動く
また、ピラティスはマシンを使うことで、負荷を補助したり弱い部分だけにピンポイントで刺激を入れたりしやすいのも特徴です。
運動習慣が長く空いている人や、腰・肩などに不安がある人にとっても、強度を調整しながら段階的に体幹を鍛えやすい方法といえるでしょう。
体幹トレーニングは筋力の向上が目的
一般的な体幹トレーニングは、体幹まわりの筋力の向上や筋持久力の向上を主な目的とした「筋トレ」の一種です。
筋肉に一定以上の負荷をかけ、強く太くしていく発想がベースにあります。
代表的なメニューとしては、プランク、サイドプランク、クランチ、レッグレイズなどが挙げられます。
これらは腹直筋や腹斜筋、脊柱起立筋などのアウターマッスルに対して、比較的わかりやすい負荷をかけやすい種目です。
回数やキープ時間、負荷の重さを増やすことで、筋肉を「鍛えた実感」が得やすいのが特徴といえるでしょう。
一方で、筋力の向上を急ぐあまり、次のようなフォームになってしまうと負担が増えやすくなります。
- 腰が反ったままプランクを続ける
- 首や肩に力が入りすぎたフォームでクランチを繰り返す
- 呼吸を止めてお腹を固めるだけになってしまう
体幹トレーニング自体は悪いものではありませんが、「フォームが崩れたまま回数だけ増やす」と、狙いたい効果から離れてしまう点には注意が必要です。
筋力をしっかりつけたいアスリートや、短期間で体を引き締めたい人には一つの有効な手段になり得ますが、姿勢のクセが強い人や腰痛持ちの人は、専門家に相談しながら進めると安心です。
ピラティス×筋トレの併用も一つの方法
体幹を「使える状態」にしたうえで、さらに筋力も高めたい場合は、ピラティスと体幹トレーニング(筋トレ)を併用する方法も選択肢の一つになります。
どちらか一方にこだわるより、役割を分けて取り入れる発想も現実的といえるでしょう。
イメージとしては、次の役割分担です。
- ピラティス:姿勢・呼吸・インナーの活性化、全身の連動性を高めるサポート
- 筋トレ:アウターマッスルの筋力・筋持久力を高める
ピラティスでニュートラルポジションや体幹の安定を身につけておくと、その後に行うプランクやスクワット、デッドリフトなどの筋トレでも、正しいフォームを維持しやすくなるでしょう。
結果として、腰や首を痛めにくく、狙った筋肉に効かせやすくなる効果も期待できます。
具体的な組み合わせ例としては、
- 週2回:ピラティス(マシンまたはマット)で体幹の安定と動きの質を練習
- 週1〜2回:プランクや筋トレ(ジム、自宅)で筋力アップを図る
といったペースが一つの目安です。
1日のなかで行う場合は、「ピラティス → 筋トレ」の順にすると、体幹が目覚めた状態で筋トレに入れるため、フォームを保ちやすいと考えられます。
体幹を鍛えるにはピラティスとヨガどちらが合ってる?目的別の選び方
体幹を鍛えるには「どちらが優れているか」よりも、「目的に合うのはどちらか」で選ぶのが現実的です。
どちらも体幹には働きかけますが、「体幹をメインテーマに鍛えるならピラティス」「体幹も含めて全身の安定感や心身のバランスを整えたいならヨガ」という選び方が、一つの目安になるでしょう。
ここでは、ピラティスとヨガの違いを整理しながら、目的別の選び方と組み合わせ方をまとめていきます。
集中的に体幹強化を目指したい人はピラティスを選ぶケースが多い
体幹を集中的に鍛えたい場合は、ピラティスをメインに選ぶケースが多いといわれます。
体幹のインナーマッスルを意識しやすい構成になっているため、「体幹トレーニングとして始めたい」という目的と相性が良いでしょう。
ピラティスでは、胸式呼吸でお腹まわりを薄く保ちながら、骨盤と背骨の位置を整えた状態でエクササイズを行います。
この「呼吸+姿勢」を土台にした動きが、腹横筋や多裂筋といったインナーマッスルを継続的に働かせる仕組みになっています。
結果として、レッスンの時間を通して体幹を使い続ける時間が長くなり、体幹強化に特化しやすいのが特徴といえるでしょう。
たとえば、
- テーブルトップでお腹を保つ練習をする
- ショルダーブリッジで骨盤をコントロールしながらお尻と体幹を使う
- スイミングで体幹を安定させ、手足を交互に動かす
といったエクササイズは、いずれも「手足を動かしても体幹を安定させる」練習になり、体幹の土台づくりに直結しやすいです。
マシンピラティスでは、スプリング(バネ)の負荷を利用して、よりピンポイントに体幹に効かせることもできます。
一方で、ピラティスは動きのコントロールを重視するため、「汗をたくさんかいてスッキリしたい」「大きくダイナミックに動きたい」というニーズだと、物足りなさを感じるかもしれません。
集中して体幹を使う分、最初は地味にきつく感じることもあるため、「体幹を鍛える」という目的がはっきりしている人ほど続けやすいといえるでしょう。
安定感やバランス感覚を高めたいならヨガも選択肢に
体幹だけでなく、全身の安定感やバランス感覚、柔軟性も高めたい場合は、ヨガも有力な選択肢になります。
ポーズを安定してキープする過程で自然と体幹が働くため、「体幹+バランス」を同時に養いやすいのが特徴です。
ヨガでは、立位のポーズや片脚立ちのポーズで、重心をコントロールしながら姿勢を保ちます。
ピラティスのように細かな筋肉の指示は少ないかもしれませんが、「姿勢を保つ力」として体幹が鍛えられていくでしょう。
また、ヨガはゆったりとした呼吸や静止時間があるため、心と体のバランスを整えやすく、リラックス効果が期待できます。
ストレスが強い人や、睡眠の質を高めたい人にとって、「体幹も鍛えたいが、まずは心身を落ち着かせたい」という目的でヨガを選ぶケースも少なくありません。
注意点としては、柔軟性を高めるポーズが多いため、可動域を広げることに意識が偏りすぎると、体幹を「締めて支える」感覚が薄くなることがあります。
特に関節が柔らかい人は、ポーズを深めるより「安定して無理なく立てているか」「腰や首が反りすぎていないか」を確認しながら進めると、安全に体幹も鍛えやすいといえるでしょう。
迷う人は週2ピラティス+週1ヨガを目安に始めてみよう
ピラティスとヨガのどちらが合うか迷う場合は、「週2回ピラティス+週1回ヨガ」を目安に、組み合わせて始める方法が現実的です。
体幹の土台づくりと心身のバランス調整を並行して進めやすい構成といえます。
週2回のピラティスでは、
- 体幹のインナーを起こし、姿勢のクセを整える
- 骨盤や背骨のニュートラルポジションを体で覚える
- 手足を動かしても体幹を安定させる練習を積む
といった「体の使い方の学習」だと進めやすくなります。
そこに週1回のヨガを加えると、
- 柔軟性や可動域を広げて動きやすさを高める
- 呼吸に意識を向け、リラックスする時間を確保する
- 片足立ちなどでバランス感覚や足裏の安定を養う
といった効果が期待できます。
もちろん、通える頻度や体力には個人差があります。
週3回が難しい場合は、「週1回ピラティス+月2回ヨガ」「スタジオではピラティス、自宅では短時間のヨガ動画」 といった形でも十分良いスタートになります。
大切なのは、無理のないペースで継続していくことです。
マシンとマットそれぞれの体幹アプローチ
同じピラティスでも、マシンとマットでは体幹へのアプローチの仕方が少し異なります。
ここではマシンとマットがそれぞれどのように体幹に働きかけてくれるのか説明していきます。
特性を知っておくと、目的やレベルに合わせて選びやすくなるでしょう。
マシンは負荷調整・動きの補助で狙った部位に入れやすい
マシンピラティスは、スプリング(バネ)の負荷と軌道のガイドにより、体幹のインナーマッスルを「感じて使う」練習をしやすいのが特徴です。
筋力に自信がない人や、体のクセが気になる人ほど、そのメリットを実感しやすいといえるでしょう。
スプリングやストラップが「負荷」と「補助」の両方の役割を果たし、設定次第でサポートを増やしたり、自分の力で支える割合を増やしたりできます。
これにより、腹横筋・多裂筋など体幹の働きを高めたり、骨盤や背骨の位置、左右差を調整したりしやすくなります。
一方で、マシンはスタジオ設備が必要なため、自宅で同じ環境を再現するのは現実的ではありません。
ただ、それだけに対面レッスンでは姿勢を細かく見てもらいやすく、自分の身体感覚を深く理解する機会になりやすいでしょう。
マットは自宅で続けやすい+自重で支える練習になる
マットピラティスは、自重のみで行うため特別な道具がいらず、自宅でも続けやすいのが最大の強みです。
さらに、自分の体重を支えることで「日常動作に直結する体幹の安定性」を養いやすい面もあります。
マットでは、骨盤や背骨を自分でニュートラルに整えたり、ぐらつきを抑えるために体幹と手足を連動させたり、「腰が反りやすい動き」に気づいたりといった自主的な姿勢コントロールの練習になります。
オンラインレッスンや動画も活用しやすく、生活リズムに合わせて継続しやすいのもメリットです。
ただし、体幹の感覚がまだつかめていない段階では「どこを使っているのか分かりにくい」「腰や首に負担がかかる」と感じることもあります。
最初は難易度の低いエクササイズから始め、可能であれば一度対面で体幹の使い方を学んでから自宅練習に移行すると、安全かつ効果を感じやすくなるでしょう。
初心者はマシンピラティスが始めやすい
体幹トレーニング初心者や運動経験が少ない人には、マシンピラティスから始めるケースが多く見られます。
動きのガイドとインストラクターのサポートが得られやすく、「どこをどう使うか」が理解しやすいからです。
体幹は目に見えにくいインナーマッスルが中心のため、最初は感覚がつかみにくいものです。
マシンでは、反発や引き合いがフィードバックになり、「ここで支えると安定する」が分かりやすく、継続につながりやすいと考えられます。
腰痛や肩こりなど不調がある人にとっても、補助を使うことで無理のない範囲で始めやすいメリットがあります。
一方で、マットから始めることが「間違い」というわけではありません。
自己流になりやすい点を踏まえると、
- 最初の1〜3か月はマシン中心で体幹の感覚と姿勢を学ぶ
- 並行して簡単なマットを宿題的に取り入れる
- 慣れてきたらマットの日を増やして自宅練習へ
といったステップも一つの目安になります。
自宅でOK!今日からできる体幹ピラティス
ここでは、自宅でマット1枚あれば始められる体幹ピラティスの基本メニューを紹介します。
体力に自信がない人でも取り組みやすい順番に並べているので、無理のない範囲で少しずつ試してみてください。
まずはこれだけ:呼吸とお腹の引き締め
ピラティスの体幹トレーニングは、呼吸とお腹の引き締め(腹圧コントロール)から始めると、安全で効果的に鍛えやすくなります。
いきなりきつい腹筋運動をするより、インナーマッスルを働かせる「土台作り」をするイメージです。
- 仰向けになり、膝を立てて骨盤をニュートラルに置く
- 鼻から息を吸うときに肋骨が横と後ろに広がるイメージを持ち、口から細く長く吐きながら、おへそを背骨の方へ少しだけ引き込むようにする
- このとき、腰を押しつけたりお尻を強く締めたりせず、「お腹の奥だけが静かに締まる」感覚を探すのがポイント
最初は、「息を吐ききる前にお腹の力が抜けてしまう」「肩や首に力が入りやすい」 と感じるかもしれません。
その場合は吐く長さを短めにしたり、手で肋骨に触れて動きを確認したりしながら、少しずつ慣れていくと良いでしょう。
1日5〜10呼吸を目安に続けるだけでも、ほかのエクササイズで体幹を使いやすくなっていくと考えられます。
テーブルトップ
テーブルトップは、腰を反らさずにお腹で脚の重さを支えることで、体幹の安定性を養いやすいエクササイズです。
反り腰の傾向がある人や、腹筋運動で首がつらくなりやすい人にも取り入れやすい動きといえます。
- 仰向けで膝を立て、呼吸とお腹の引き締めをセットする
- 息を吐きながら片脚ずつ持ち上げ、股関節と膝がともに90度になる位置に両脚をそろえる
- 腰とマットの間に「薄い紙1枚」が入る程度の自然なカーブを保ち、お腹がドンと前に持ち上がらないように注意する
余裕があれば、「片脚ずつ床に向かってつま先を下ろし、また戻す」「左右交互にゆっくり繰り返す」といった動きを加えると、体幹と股関節の連動を高めやすくなります。
回数は5〜10回程度からで十分です。腰が反る・首肩がつらい場合は、動かさずキープするだけでもOKです。
スイミング
スイミングは、うつ伏せ姿勢で背中側の体幹を鍛え、姿勢を支える筋肉のバランスを整えやすいエクササイズです。
背中の強化は腰の負担軽減を目指すサポートにもつながると考えられています。
- うつ伏せで寝て、足は腰幅程度、両腕を前に伸ばす
- 恥骨をマットに軽く押し当て、下腹部を持ち上げるようにして腰を反りすぎない位置を作る
- 息を吐きながら胸をわずかに持ち上げ、反対側の腕と脚を数センチ浮かせる
- 吸いながら下ろし、吐きながら反対側を持ち上げる、をゆっくり繰り返す
このとき、腰だけで反ろうとせず、みぞおちから頭までを長く伸ばすイメージを持つと刺激が入りやすくなります。
慣れてきたらテンポよく入れ替えるバリエーションもありますが、「腰に痛みや強い張りを感じる」「首だけが反ってしまう」場合は動きを小さくするか、片側ずつゆっくりに戻すと安心です。
5〜10回を目安に行いましょう。
プランク/サイドプランク
プランクとサイドプランクは体幹全体を鍛えられる代表的なエクササイズですが、ピラティスの考え方を入れると、インナーを使いやすくなります。
まずはひじつきプランクの膝つきから始めます。
- ひじを肩の真下につけ、膝をマットにつける
- 息を吐きながらお腹を引き込み、頭から膝までを一直線に保つように骨盤を持ち上げる
このとき、腰が落ちて反る・お尻だけ高い、にならないよう「肋骨から骨盤までを長い板にする」イメージを持つと安定しやすいです。
膝つきで20〜30秒キープできたら、無理のない範囲で膝を伸ばしフルプランクへ進めましょう。
呼吸は止めず、
- 吸うときに肋骨を広げる
- 吐くときにおへそを背骨に近づける
を繰り返します。
肩に力が入りすぎる場合は、肩甲骨をやや下げて背中を広げる意識も大切です。
サイドプランクは横向きでひじを肩の真下につき、膝を曲げた状態から骨盤を持ち上げ、耳から肩、腰、膝まで一直線に整えます。
慣れたら膝を伸ばして負荷を上げてもOKです。
どちらも10〜20秒から始め、無理なく伸ばしていきましょう。
痛みが出る場合は中止し、呼吸やテーブルトップなどに戻る判断も重要です。
ショルダーブリッジ
ショルダーブリッジは、お尻やもも裏を使いながら骨盤と背骨をコントロールすることで、体幹の安定性と姿勢のケアを同時に目指せるエクササイズです。
「背骨を1本ずつ動かす」意識がピラティスらしいポイントです。
- 仰向けで膝を立て、足は腰幅、つま先は正面へ
- 息を吐きながら尾骨→腰→背中の順に、背骨を1つずつマットから離すように骨盤を持ち上げる
- 肩から膝までが斜め一直線になる高さで止め、お尻ともも裏に力が入っているかを確認する
- 肋骨が前に突き出ないよう、胸は少し引き下げると体幹が働きやすくなる
- 頂点で1〜2呼吸キープしたら、息を吐きながら胸の方から順に背骨を戻す
このとき勢いではなく「1本ずつ丁寧に」がコツです。
1セット8〜10回を目安に行い、腰に痛みが出る・太もも前ばかりに効く場合は高さや回数を調整しましょう。
ピラティスと体幹についてよくある質問
ピラティスで体幹を鍛える際に多い疑問として、「どれくらいで効果が出るか」「頻度はどの程度がよいか」「腰痛があっても安全か」「プランクだけで十分か」などがあります。
ここでは、体幹を無理なく鍛えるための目安と注意点を整理していきます。
ピラティスで体幹がつくまでどれくらいかかる?
体幹の変化を実感し始める目安は、週2〜3回のペースで続けておよそ1〜3か月。
さらに見た目の変化や安定感の向上を感じやすくなるのは3か月前後といわれています。
筋肉量そのものの増加には時間がかかりますが、まずは「使い方」が変わることで姿勢や動きの質に変化が出やすいのがピラティスの特徴です。
体幹のインナーマッスルは、「正しいタイミングで働く練習」を積み重ねることで機能が高まりやすい筋肉です。
そのため、短期間にハードなトレーニングを詰め込むより、週2〜3回の継続を3か月ほど続ける方が、姿勢の安定や負担軽減の実感につながりやすいと考えられます。
体感としては、
- 2〜4週間:レッスン後に「立ちやすい・歩きやすい」など一時的な変化
- 1〜3か月:日常生活でも姿勢が崩れにくい、疲れにくい変化
- 3か月以降:体幹の安定がクセづき、動きの質やボディラインの変化
といった経過をたどるケースが多いとされています。
毎日やってもいい?休む日は必要?
呼吸や軽めの体幹エクササイズであれば毎日行っても問題はありません。
ただ、プランクやスイミングなど負荷の高い動きは週2〜3回を目安にし、筋肉痛が強い日は休息や軽いメニューに切り替えるのがおすすめです。
組み立て例としては、
- 毎日:呼吸とお腹の引き締め、テーブルトップなど低負荷
- 週2〜3日:プランク/サイドプランク、スイミング、ショルダーブリッジなど中〜高負荷
が一つの目安になります。
疲労が強い日や睡眠不足の日は「整える日」と割り切る判断も重要です。
腰痛持ちでもできる?避けたほうがいい動きは?
腰痛があっても、内容を選べばピラティスで体幹を鍛えやすいケースは多いとされています。
ただし、痛みの原因や状態によって適した動きは異なるため、医師の診断を受けたうえで、反り・急なひねり・強い前屈など腰に負担がかかりやすい動きは控えめにすることが大切です。
参考:日本整形外科学会「腰痛」https://www.joa.or.jp/public/sick/condition/lumbago.html
参考:腰痛診療ガイドライン https://minds.jcqhc.or.jp/summary/c00498/
腰痛がある場合は、
- 痛みが出るポジションでは無理をしない
- 「腰で頑張る」ではなく、お腹・お尻・股関節へ力が分散しているか確かめる
- 動きの前後に、軽いストレッチやリラックスした呼吸を入れる
といった工夫をすることで、安全性が高まりやすくなります。
体幹トレ(プランク)だけじゃダメ?
プランクは代表的な種目ですが、プランクだけに偏るより、前面・側面・背面をバランスよく鍛える複数のエクササイズを組み合わせた方が、日常動作で「体幹を使える身体」を目指しやすくなります。
プランクは便利な反面、「腰が反りやすい人は負担が集中しやすい」「前側に意識が偏り、背中側や側面が働きにくい」「固める動きが中心で、多方向からの動きが少ない」といった弱点もあります。
そのため、ピラティスでは、
- 呼吸とお腹の引き締めでインナーの感覚を養う
- テーブルトップで前面の安定を高める
- スイミングで背面を強化する
- ショルダーブリッジで骨盤の安定を高める
といったメニューを組み合わせることが多いです。プランクも、その一つとして取り入れるのが効果的といえるでしょう。
まとめ|ピラティスで体幹を使える身体を目指そう
ピラティスは「体幹を鍛える」だけでなく、「体幹を使える身体」を目指していくエクササイズです。最後にポイントを整理します。
- 体幹はインナーマッスルとアウターマッスルの両方を含む「胴体全体」で、姿勢や動作の土台になるとされる
- ピラティスは呼吸と腹圧、骨盤・背骨の位置を整えながら動くことで、体幹が働きやすい状態を作りやすい
- 体幹が整うことで、姿勢の安定、腰や肩への負担軽減を目指しつつ、日常動作のしやすさなど多面的なメリットが期待できる
- 筋トレやヨガとは目的とアプローチが少し異なり、組み合わせることでよりバランスのよい身体づくりにつながりやすい
- 週2〜3回を目安に、マシン・マット・自宅エクササイズを活用しながら数か月単位で継続することが重要とされる
体幹は「短期間で一気に鍛え上げる」より、「毎日の中で少しずつ使い方を学習させていく」ことで力を発揮しやすくなる部位といわれます。
その点で、呼吸と姿勢を土台にしたピラティスは、体幹トレーニングと相性がよい方法といえるでしょう。
まずは完璧さよりも「今日は呼吸だけ」「週に2回だけ」といった無理のない一歩から始め、少しずつ積み重ねていけると安心です。
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